「人間関係が嫌になったわけじゃないの?」
「仕事、うまくやってたように見えたけど?」
「あと1年で退職金が増えたのに、なんで?」
50を目前にして市役所を辞めた僕が、送別会でよく聞かれた言葉です。
一見、何の不満もなさそうな職場環境。
でも、僕は「もういいかな」と思って退職を決めました。
今回の記事では、「なぜその選択をしたのか」、そして「働く中で感じていた違和感」について、素直な気持ちを綴ってみます。
働き方やこれからの生き方にモヤモヤを感じている方にとって、何かヒントになるかもしれません。
退職後も続いた送別会で、聞かれたこと
市役所を辞めて3か月。送別会は10回を超えました。ほんとうにありがたいことです。
ある日の飲み会で、同期からこう聞かれました。
- 「人間関係で何かあったの?悪い人いないように見えたけど?」
- 「そんなに仕事が嫌だった?うまくやってたよね?」
- 「あと1年で退職金300万円くらい増えるんじゃなかった?」
質問の意図は理解できます。
確かに、表面上は何の問題もないように見えていたと思います。
でも、僕の答えは一言でした。
「もういいかな、と思ったんよね~」
この返答に、同期はどこか腑に落ちないような反応をしていました。
「そういう理由で辞める人って、いるんだ…」という戸惑いも感じました。
「うまくやってる自分」は演じていた
僕自身、表向きは、誰とでもうまくやって、仕事も問題なくこなしていました。
でも、実は「うまくやってる自分」は、ある意味、演じていたキャラだったのです。
- 苦手な人にも笑顔で接する。
- 意味不明な仕事でも「分かったフリ」をしてうなずく。
- 本音を押し殺して、角が立たないような意見を言う。
そんな自分を、職場では「上手くやっている人」と見ていたんだと思います。
でも、それは“本当の自分”ではなかった。
演じ続けるうちに、自分がどう感じているか、わからなくなってきたんです。
「本当の自分」は、もっとわがままだった
あらためて自分の気持ちを探ってみると、
本当の僕はこう思っていました。
- 「イヤな人とは距離を置きたい」
- 「意味を感じない仕事に時間を使いたくない」
ごく普通の感情かもしれません。
でも、「公務員」という立場だと、それはできません。
このまま働き続けるということは、
“自分じゃない誰か”を演じながら生きていく、ということ。
ということに気付いたとき、
「もういいかな」と思ってしまいました。
お金よりも、自分らしく生きることを選んだ
実は、あと1年働けば、退職金が300万円ほど増えるタイミングでした。
でも、その1年は「お金のためだけに自分を押し殺して働く1年」になってしまう。
それよりも、早く演技を辞めることの方が大事だと思いました。
このまま演じ続けると、演技を辞めるタイミングを失ってしまうとも思いました。
周りの同僚は、「あと1年待てばよかったのに」と言っていましたが、
「人生における1年」と、「300万円」
僕にとっては、迷いのない選択でした。
演じている自分に気づけるか?
おそらく、多くの人は、学校生活から就職するまで、集団の中で過ごし、周囲に合わせることを続けているのではないかと思います。
でも、それは、演技かもしれません。
日々、忙しいと、「本当の自分」を考えるヒマなんて、なかなか、取れません。
お昼休みでも、通勤時間でも、お風呂に入っている時間でも、寝る前の5分でもいいと思います。少し考えてみませんか。
- 今日の会議で分かったように発言したけど、本当に思ってたことかな?
- 無理して、誰かの期待に応えようとしてないかな?
- 自分の仕事上のキャラって、どんな感じかな?
- そんなキャラ、本当の自分は好きかな?
自分を責める必要は、ないと思います。
でも、自分の気持ちに気づくことからしか、変化は始まらないと思います。
おわりに
僕は、「もういいかな」という感覚を信じて、演技をやめました。
それは、逃げではなく、本当の自分を取り戻すための選択でした。
誰もが辞める必要があるとは思いません。
でも、「今の自分は、誰を演じているのか?」という問いを、
一度、自分に向けてみる時間は、きっと無駄にならないはずです。